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中国大連の開発区のとある印刷工場でお勤め中の 筆者がなんとなくと言いつつもたまに本気出した りしなくもない勢いで書いてみたりする日記。
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長春へ行くにはいくつかの交通手段があるが、彼女の実家が農村地域であるため、主要な交通機関のある場所まで移動するには「白タク」を利用せざるを得ない。
出発の前の晩に電話で予約を入れておき、朝6時に起床。6時半には車が家の前で待っていた。銀色のSUZUKIアルト。4ドアで前後にパイプ状のバンパーがデコレートされている。大連でもたまにみかける妙に装飾された軽自動車だ。

彼女は当然のことのように助手席に座る。
別に私と仲良く後ろの席に座ればよいのに、と思うが、大連でタクシーに乗るときも同じスタイルなので仕方ない。私は後ろの座席に納まった。
軽自動車なので後部座席は決して広くはない。ブーツを脱いでくつろぎたかったが、外は零下10度以下。ブーツを履いたままでも床下からの冷気を感じる。
彼女の実家に来たときの道を戻る。未舗装なので、激しく揺れる。相変わらず道の脇の川は凍っている。ただし、凍っているのは表面だけで、下はちゃんと水が流れている。なぜならばところどころ水が湧き出た跡があるからだ。
一面、枯れ果てた大地。緩やかな丘が多数ある中国東北部特有の景色だ。地面が無数に隆起しているため地平線が見えない。かつて満州と呼ばれていた土地に揺られながら、私たちを乗せた車はのんびりと最初の目的地へ向けて進んでいく。

40分後、到着したのは駅前大通り。ここで、次のタクシーに乗り換えるのだそうだ。停車した通りの反対側に一台のフォルクスワーゲン・サンタナが停車している。ただし大連で見られるような公共タクシーではない。普通の乗用車だ。彼女が運転手となにやら交渉している。話がまとまり後部座席に乗り込んだ。助手席には大柄な男性が一人、後部座席には女性が一人座っていた。
後に判明したことだが、吉林の農村地域では、白タクは基本的に相乗りだ。乗客が一杯になったら出発する。途中で乗客が少なくなれば、平気で他の乗客を乗せる。料金は基本的に一人当たり5元。おそらくしかるべき料金を払えば他の乗客を乗せずにチャーターできるのだろう。しかし、彼らも商売だ。乗せられる余裕があるのなら他の乗客も乗せる。

30分程で到着したのは隣町のバスターミナル。10元を払って白タクを降りた。
なるほど。ここで長春行きのバスに乗り換えるわけか。
彼女がバスの運転手に出発時刻と長春到着時刻を確認する。しかし、出発は30分後。到着も遅い。結婚の手続きは午前中しか受け付けてもらえない。待ち時間も考えればバスでは危うい。そこで、またもや白タクに乗ることになった。
ただし今度はステップワゴンタイプの白タクである。フォードの16人乗りのステップワゴン。ベンチシート一列に4人がけ。それが4列ある。すでに15人が乗車。彼女は乗れるとしても、私はどうする?そうしたら、木の折りたたみ椅子が出てきた。釣りの時に座る「あの椅子」である。
普通の日本人ならシートベルトもないベンチシートに座るだけでも抵抗があるのに、木の折りたたみ椅子である。なるほど。これが吉林流か。何事も経験だ。

運転手の右脇に木の椅子を置いて私が座る。私の右横には助手らしき男性が同じ木の椅子を出して座った。いよいよ出発である。
1kmぐらい走ったところで急に車が止まった。助手の男性が外に出ていく。どうやらまだ乗客を勧誘する様子だ。おぃ!まだ乗せる気か!確かに木の椅子はあと二つある。ってことはまだ後二人も乗せようってか?
待っている間に運転手が乗客から料金を集め始める。長春まで一人11元。100kmはある距離だから、妥当な料金だと思ったが、大連よりも収入が低いこの地域の事情を考えると決して安い料金では無いのかも知れない。

彼らにとっては残念なことに、私にとっては幸運なことに、更なる乗客は無かった。諦めがついたところで車は長春に向けて出発。
高速道路らしきところを時速100kmで走行。シートベルトも無い木の折りたたみ椅子での乗車は、なかなかスリリングだ。
またもや停車。今度は何かと思ったら運転手が車を降りて、反対側車線に移動。到着した同型のフォードのステップワゴンに乗り込んで彼は行ってしまった...。唖然としていると、助手だった男性が運転席に乗り込み、車を動かした。運転手の交代だったのか...。高速道路上で無茶すんなよ!

早起きのせいで、眠気が襲う。しかし不安定な木の椅子では眠るわけにもいかない。ちょっとした緩いカーブでも倒れそうになるため、手すりにつかまって体を支えなければならない。途中料金所で停車。料金は支払われていない。同型の車がたくさん走っていることと、車内に彼らの制服があり、腕の場所のワッペンから許可を受けた旅客輸送の団体だということはわかった。だから料金は会社で一括して支払っているに違いない。
変わりゆく外の景色を眺めながら1時間半で車は長春市街へ到着した。
長春市街中心部に入ったところで下車。今度は公共タクシーに乗り換える。タクシーは初乗り2.5kmまで5元。大連(初乗り3kmまで8元)よりも安い感じだ。新しい車なのだろう、車内は清潔で良い香りまでする。
先ほどまでの緊張から解放されて、一気に睡魔に襲われる。しかし、寝ようと思ったところで目的地の外国人結婚登録所へ到着してしまった。

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